メンタル 本の紹介

うつ病と音楽と時々筋肉『聴くだけうつぬけ』

2022年2月27日

コケティッシュ

今回は橋本翔太さんの『聴くだけうつぬけ』をご紹介します。

『聴くだけうつぬけ』の表紙
『聴くだけうつぬけ』の表紙

ピアノセラピーCD付き!クマがピアノを弾いている表紙が目印『聴くだけうつぬけ』

本の紹介の前に、本の内容にまつわる私のことを少しお話します。
新型コロナウイルスが流行する少し前の2020年1月、私は日々の仕事でのストレスが抑えられなくなり、うつ病になってしまいました。

勇気を振りしぼって初めてメンタルクリニックに行き(初めてメンタルクリニックに行くのはとにかく緊張するんです!)、通院しながらも自分でもうつ病を治す方法を探してみようと思い、書店でメンタル本を探していました。

書店のメンタル本コーナーで、「自分に合った本見つかるかなぁ…」と思っていたら、クマがピアノを弾いている表紙を見つけました。
それが今回ご紹介する『聴くだけうつぬけ』です。

メンタル本で、ピアノセラピーのCDが付いていて、なんだかお得に感じたので購入することに決めました。パラパラ中身を読んでみると、行間がゆったりしていて、イラストも色使いもやわらかいので、気軽に読めそうな感じです。

『聴くだけうつぬけ』付属のピアノセラピーCD
付属CDにはピアノセラピーが7曲収録されています

ギャップがすごい。著書の橋本翔太さん

『聴くだけうつぬけ』は、橋本翔太さんが書いたメンタル本です。
橋本さんってどういう人なんだろうかと思い、裏表紙の著者紹介を見ると…筋肉隆々の笑顔がまぶしい男性でした。

橋本さんは心理カウンセラーであり、音楽療法家でもあるのですが、マッチョなお身体に気を取られてしまい、「カウンセラー」「音楽家」「マッチョ」という言葉がしばらく私の頭の中でぐるぐる回っていました。良い意味で裏切られたと思います。

そして表紙にクマのイラストがあるのも納得しました。あのクマは橋本さんを表しているんですね。

橋本翔太さんの画像
腕の筋肉が素晴らしくてついつい凝視してしまう…

また橋本さんは本書冒頭で、ご自身もうつ病を発症し、それを克服されてきたことを触れています。西洋医療や東洋医療など様々な療法を取り入れそれを身をもって実践された方です。

『聴くだけうつぬけ』を読むと、うつ病についていろんな視点が見えてくる

うつ病経験のある橋本さんが本書で紹介している「うつ病患者あるある」は、うつ病当事者の私としても頷ける内容が多いです。本書では橋本さんが症状を回復させていくなかで、効果があった療法を載せているのですが、そのなかでも目からウロコな内容がたくさんありました。

私が『聴くだけうつぬけ』を読んでとても参考になった内容は以下の3点です。

  1. うつ病には多角的なアプローチが必要
  2. 精神科や心療内科のドクターは心理カウンセリングをしてくれない
  3. 筋肉を増やすとうつ病は逃げていく

①から③について順を追って説明していきます。

まず①の「うつ病には多角的なアプローチが必要」についてですが、うつ病をから回復するには、多角的なアプローチが必要だと橋本さんは言います。

薬療法だけではダメ、栄養療法だけではダメ、とにかく1つの療法にだけに依存し、それ以外の療法をしないのは、橋本さんの経験上良くないということを指摘しています。様々な療法を試して、自分にあった療法をバランス良く組み合わせることがうつ病回復には必要だということでした。本書では、実際にどのような療法があるのか、心理療法、栄養療法、音楽療法などを例に紹介されています。

「様々な療法をバランス良く取り入れる」イメージ図

そのなかでも、栄養療法では、メンタルの安定には血糖値の安定が必要不可欠という話は興味深かったです。本書では血糖値を上げない食べ方が紹介されています。すぐに実践できるので、手っ取り早い療法ですね。

食事療法では、橋本さんおすすめの食事の順番が紹介されています。

「食事の順番」イメージ図

橋本さんおすすめの食事の順番ですが、主食を最後にまわすのは、主食の糖質から食べてしまうと、血糖値が上がり、その際にホルモンが使われてしまうので、ホルモン不足でやる気が出ない、ストレスに対抗できない体になってしまうからということでした。

コケティッシュ

でもおかずを先に食べて、ご飯を最後に食べるのは抵抗あるな…。今までおかずと一緒にご飯食べてたし。ご飯を最後に食べる時はふりかけとか味がするものと一緒に食べてもいいのかな…?

次に②の「精神科や心療内科のドクターは心理カウンセリングをしてくれない」ですが、精神科や心療内科などのメンタルクリニックに通院されている方は経験があると思いますが、先生たちは基本患者の話(症状)を聞いて薬を出したら終わりで、処方薬が無くなったらまた来てくださいっていうパターンが多いですよね…?初診の時は長い時間、ちゃんと話聞いてくれたのに、その後の通院の際のやりとりはそっけないというか…。

橋本さんも投薬のことでは以下のことを述べています。

精神科や心療内科のドクターは通常、心理カウンセリングはしてくれません。ドクターができることは、薬の処方だけです。ドクターはあなたの心の悩みを聞く専門家ではなく、あなたに合いそうな薬を処方してくれる専門家なのです。

橋本翔太『聴くだけうつぬけ』

この内容を知って、確かにメンタルクリニックは患者さんに今後どうしたら良いとかこうした方が良いとか人生におけるアドバイスってあんまりしてくれないよなぁ…と通院していてつくづく思います。患者は切羽詰まっていて、今後どうしたら良いのか先生に決めてもらいたい、指示して欲しいっていう気持ちが多少なりともあって相談しているのに、親身になって相談にのってくれない…って感じの口コミはちょいちょい見かけます。

クリニックの先生は完全に患者の気持ちを汲み取ることはできないから、病院は自分に合った薬を処方してもらう為に行くところと割り切ることが大事だと橋本さんは言います。また処方される薬についてきちんと説明してくださる先生に診てもらうことが大事とのことでした。本書では自分に合った先生の条件もあげています。

また、メンタルクリニックを探すとき、クリニックのHPなどで、院内の雰囲気や口コミをチェックをする人がいると思いますが、口コミのなかで

  • 「先生が患者の話を聞いてくれない」
  • 「診断がすぐ終わってしまう。話をちゃんと聞いてくれれば良いのに」

という口コミを書いている方をよく見かけます(その一方で「このクリニックのおかげで命が救われました」という良い口コミもあります。メンタルクリニックの口コミって本当賛否両論ありますよね…)。

もちろん、その悪い内容の口コミが事実だっていう可能性もあるかもしれませんが、このようなコメントを書かれている方は、もしかしたら「メンタルクリニック=薬を処方してもらうところ」ということを知らないのかもしれません。この割り切った考えが分かっていれば、患者さんもメンタルクリニックの付き合い方も変わってくるのではないかなと私は思います。

今後、薬の処方と心理カウンセリングがセットになったクリニックが主流になれば良いのかもしれませんが、多くの患者をより多く診るにはそれは難しいのかもしれませんね。

コケティッシュ

私が通院しているメンタルクリニックの先生は、感じが良くて、薬の説明もちゃんとしてくれる方で、分からないことは丁寧に説明してくれるけど、一人一人の診断時間がものすごく短い(笑)!
患者さんの中には診断が1分程度で終わる方もいました。診断1分で何の話をしているんだろう…。

最後の③「筋肉を増やすとうつ病は逃げていく」は、橋本さんらしい療法だなぁと思いました。筋肉隆々の橋本さんだから説得力があります。メンタル本で筋肉の話をする書籍って珍しいと思います。

ただ、橋本さんのように筋肉ムキムキになれ、というのではなく、筋肉を増やす近道は「(精神的に心が安定していて)動ける時に下半身を使う」ということだそうです。ジムに通わずとも歩く量をいつもより増やしたり、散歩するのがおすすめなんだとか。通勤している人は少し遠回りしたり、階段を積極的にのぼったりするだけでも効果があるそうです。

コケティッシュ

私も最寄駅のひとつ前の駅で降りて帰宅しています。
近道や気になるお店を見つけたりして帰り道を楽しんでいます。

苦しい時、落ち着きたい時におすすめ ピアノセラピーCD

本書のテーマである音楽療法ですが、音楽療法家でもある橋本さんは、目に見えないうつには、同様に目に見えない音楽が効くと本書で詳しく説明しています。自分が好きな音楽を聴くことは、ストレス撃退に効果がある音楽療法の一つでもあるそうなのですが、その中でも、今の自分の状態に合った音楽を聴くことが更に重要のようです。

そしてうつ患者には、橋本さんが作詞作曲したピアノセラピーがおすすめで、心の回復のエネルギーを込めて演奏した音楽をただひたすら聴き流すだけでOKだそうです。これならしんどくてやる気がなくてもできそうです。

私も不安な時、ウォークマンに入れたこのピアノセラピーを聴いています。落ち着いたピアノのメロディーに、波の音や鳥の声も入っていて、爽やかな朝がイメージに浮かぶ気持ちになります。私は音楽に対してドレミも分からないほど無知で、上手く表現できませんが、ピアノの音を毎日聴くのも心の安定に必要なんだな…と身をもって知りました。

ウォークマンの画像
10年以上使っているウォークマン、充電が凄まじい勢いですぐ無くなる

ちなみにCDを聴く環境がない方は、本書に記載されている購入者無料プレゼントの項目にあるURLから音源をダウンロードできます。また、このURLから橋本さんの特別演奏動画が見ることができます。

うつ病について 〜自分の経験〜

私はうつ病になってから2年たちますが(2022年3月現在)、実はこの本を買ったのは2020年で、当時は買ったことに満足してしまい(いわゆる「積ん読」というやつですが…)、ちゃんと読んでませんでした。今回改めて読み直してみて、この本で橋本さんが言う通り、投薬、運動、食事、音楽などの療法をバランス良く取るのが大事だと思いました。

私は今まで抗うつ剤さえ飲んでいればいつか良くなるだろう、と薬に依存していた時期もあり、でも結局投薬だけではうつ病が治った気がしなくて、しまいには通院するのもめんどくさくなって、メンタルクリニックに1年近く行ってない時期もありました。最近(2022年1月)転職をして、不安な日々を過ごすことが多くなり、気管支あたりがきゅ〜と締め付けられる状態に悩まされたので、また通院し始めました。そんな時期にこの本を読み直してみて、今度は投薬しつつ、食事(糖質取りすぎないようにする)、運動(駅一駅分歩く)、音楽(ピアノセラピーCD聴く)をなるべく継続できるように過ごしたいと思います。あと、最近転職したと書きましたが、結局会社は1ヶ月半後に辞めてしまいました。今後はすぐに辞めることがないようにしないとですね…。

コケティッシュ

心身ともに不調をきたしている場合は、まずはメンタルクリニックを受診することをおすすめします。でも最近はコロナウイルスの影響があってか評判が良いクリニックは初診予約がなかなか取れない状態が続いているようです。それでも諦めずに受診することをまずは目指してもらいたいです。

コケティッシュ

最後までご覧いただきありがとうございました。

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